こんにちは、若手商人です。
資産形成の話をしていると、たまに出てくる「r > g」という式があります。見た目は数式ですが、中身は難しくありません。今日はこれを説明したうえで、私が一番伝えたいことを書きます。
まず、r と g が何かという話
これはフランスの経済学者トマ・ピケティが『21世紀の資本』という本で提示した不等式です。
記号の意味はこうです。
- r(return)= 資本収益率
株式、不動産、債券といった「資産」が生み出すリターンの率。持っているだけで増える分です。 - g(growth)= 経済成長率
国全体の経済が伸びる率。そしてこれは、そこで働く人たちの所得の伸びとおおむね連動します。給料の伸びだと考えてください。
そして「r > g」とは、資産が増える速度のほうが、給料が増える速度より速い、という意味です。
ピケティが膨大な歴史データを調べて示したのは、この関係が長期にわたって成り立ってきたという事実でした。彼の整理では、資本収益率はおおむね年4〜5%程度で推移してきた一方、経済成長率は歴史的に見れば1〜2%程度にとどまる期間が長かった。
数字で見ると、実感が湧きます
抽象的なので、簡単な例で見てみます。
仮に、資産が年4%、給料が年1%で伸びるとします。
- 100万円を資産として持っている人は、30年後におよそ324万円
- 年収の伸びが1%の人は、30年後の年収がおよそ1.35倍
同じ30年でも、増え方の傾斜がまるで違います。しかも資産の側は、本人が寝ていても、旅行していても、体調を崩していても、同じ率で増えていく。
ここに、「r > g」という式の本当の怖さがあります。差が開くこと自体ではなく、放っておくと自動的に開いていくことです。
この式が突きつけていること
私がこの式から受け取ったメッセージは、はっきりしています。
働いているだけではダメだ、ということです。
誤解のないように書きますが、これは「労働に価値がない」という話ではまったくありません。私自身、本業は本業で本気でやっています。給料は生活の土台であり、投資の原資であり、何より仕事は自分を鍛えてくれます。
そうではなく、労働だけを収入の全経路にしていると、構造的に不利な側に立ち続けることになる、という話です。
給料は g の世界の数字です。会社と経済全体の成長を大きく超えては伸びません。どれだけ努力しても、この式の外には出られない。一方で資産は r の世界にあります。同じ努力をするなら、r の側にも一本足を掛けておいたほうがいい。
労働以外の時間で、お金に働いてもらう
だから私が意識しているのは、こうです。
労働以外の時間で、いかにお金に働いてもらうか。
一日の中で自分が働ける時間には限りがあります。体力にも上限がある。けれど、資産の側には時間の制約がありません。自分が寝ている間も、仕事をしている間も、資産は同じ率で回り続けています。
自分が働く時間と、お金が働く時間。この二本立てにできるかどうか。ここを意識できるかどうかで、今後の人生は周りと大きく差が開いていきます。
そして厄介なことに、この差は最初の数年ではほとんど見えません。20代のうちは、投資に回せる金額など知れています。年4%で回っても、金額としては誤差のように見える。だから多くの人が「まだ早い」と判断する。
でも複利は、後半で急に効いてきます。差が見えるようになった頃には、すでに埋めるのが難しい距離になっている。だから私は、金額の大小より、参加している状態を早く作ることを優先しています。
注意点も書いておきます
とはいえ、いくつか正直に書いておきます。
r > g は物理法則ではありません。 資産の種類や時期によってリターンは大きくばらつきますし、税や手数料を差し引けば単純な不等式は成り立ちにくいという指摘もあります。歴史データの解釈自体、経済学者の間で議論が続いています。
r は元本が減る可能性とセットです。 年4%という数字は平均であって、途中で3割下がる年も普通にあります。減る可能性を引き受けた対価として、伸びしろがある。ここを飛ばして「投資すれば増える」と考えるのは危険です。
そして私は投資の専門家ではありません。 ここに書いたのは私自身の判断基準であって、何をどう買うかは、ご自身で調べたうえで決めていただくべき話です。
私は r > g を、証明された法則としてではなく、自分が今どちら側に立っているかを確認するための補助線として使っています。
おわりに
「r > g」は、資産の増える速度が給料の増える速度を上回る、という不等式です。
そこから引き出せる行動指針は一つ。自分が働くだけでなく、労働以外の時間にお金にも働いてもらう。
始めるのに大きな金額は要りません。必要なのは、構造を知っていることと、早く参加することだけです。


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